ニセとウソ

電車内の吊り広告で、

「波動」の正体

なんて文字がデカデカと踊るのがあって、一瞬トンデモ系かと思ったら、Newtonの最新号広告だった。さらになお、まさかNewtonもトンデモ系に転身かなどと思ってしまった自分が悲しい。もちろんそんなはずはなく、Newtonの2009年01月号はまっとうな「波動の科学」の特集である。



個人的にニセ科学が嫌いなのは、たいていがしょせん商売の道具に過ぎないので、原理・機序の論理展開の作り込みが全然甘くてつまらないのである。商売のために必要な結論に猫まっしぐらで、意外性というかセンス・オブ・ワンダーが無い。


じゃあ商売っ気が無ければいいかというと、こちらはもう論理的世界から彼岸へ旅立たれた人たちのものなので、そもそもついて行けない。


やはり嘘なら嘘で、ホーガンやニーブン程度の完成度がないと楽しめない。「子供騙し」というが、SF作家にとってもっとも恐るべきは12歳の子供だとアジモフも言っていた。しかし、その域に達しているニセ科学はまず無いのである。SF作家にとってはその嘘の出来こそが飯のタネなので、必死で頭をふりしぼり、結果として侏儒の職人芸が生まれるわけだが、ニセ科学の方は結局のところ広告のコピーに過ぎないということなのだろう。


しかし、結局、本物の科学の方が論理展開も破綻が無くセンス・オブ・ワンダーにあふれているのは、人間の想像力の限界かと少し寂しくなったりはする。


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