電子書籍リーダー雑感

近況

先月末にようやくハリーポッターを完走した。児童書7冊に約2か月。読んでも読んでも終わらないので、途中で何度も心が折れそうになった。日本語版だったら2週間くらいだろうなあと思うと、やはり母語はありがたい。気楽にもう一周しようと思えないのがつらい。

KOBO

KindleよりKOBOが先に日本で発表されたのは意外だった。Kindle4に慣れるにつれ、タッチインターフェースって電子書籍に向いてないんじゃ疑惑が持ち上がってきたので、7,980円なら試してみるのも悪くないかもしれない。スクリーンを平気で指で触れる持ち方が楽なので、タッチ操作だとどうなのかなと。


KOBOモリサワが積まれたというのも嬉しい。ちらっと画面写真を見たところでは少し余白が大きすぎないかと思ったが、設定次第でどうにでもなるだろう。裏面の凸凹は見た目はいいけれど、埃を溜め込みそうで怖い。

Reader

SonyのReaderは約2万円みたいな紹介が多いが、今Sonyの通販を見ると16,800円なので、これを約2万円と言ってしまうのは気の毒という気がする。それでもこの値段のままでは価格競争力なんて無いので、遠からず値下げするだろう。しなければ、LIBRIeの悪夢再びとなる。


というのも、米Sonyの直販では$129.99となっていて、これはKindle touchよりも$10安いのである。何故、日本ではこんなに高い値付けがされているのか全く謎だ。事実上、国内独占状態だったのだから、安売りして市場をおさえてしまえば−少なくともそのポーズぐらいすれば−よかったのに。

iBooks

すっかり影の薄いiBooksだが、Appleが専用のハードウェアを出さない限り、一般書籍の分野では影の薄いままというのはなんとなく見えてきた。iPhoneは小さすぎるしiPadは重すぎるし、所詮電池のもちも違うので、ガチの読書には向かない。ただし、雑誌や教科書など色や動きが大きな意味を持つ分野では、電子インク機よりも断然向いていると思う。漫画もやっぱりカラーページ無くなると寂しいよねえ。

単行本好きと文庫落ちを待つ人

アメリカの書籍の売上動向を見ている限り、電子書籍が売上を伸ばしているのは、要するにペーパーバックとマスマーケットを喰っているのであって、ハードカバーの売上には今のところあまり影響がないようだ。ハードカバーは電子書籍版よりも先行して販売されることが多いからというのはもちろんだが、それはペーパーバックでも同じだったわけで、要するにハードカバー買う人は「文庫落ち」するまで待たない傾向に変化は無いということ。


出版社のこうした営業戦略を非難する向きも見受けられるが、私はもともと何年でも「文庫落ち」を待つ人だったので、ちゃんと文庫化/電子化してくれるのであれば全然気にならない。絶版で銀河英雄伝説が10年以上まともに手に入らないみたいな状況こそ悪である。あと、ハードカバー好きな人の楽しみを奪うなと思ってしまう。

先々のこと

だいぶ安くなってきたような気がする電子書籍リーダーについては、将来的にはもう一段値段が下がるだろうなと思っている。とりあえず$50=3,800円くらいが一つの目安。最終的にはちょっといい電卓くらいの感覚のものになって、ご家庭に数枚転がっている風景がやがて来るんじゃないかと。それでもハードカバーは生き残ると思う。ピカード艦長みたいな好事家だけのものになるまでには相当かかるだろう。そして、文庫・新書の類いは電子化されてしまうだろう。困るとか悲しいとか言う人も多いと思うし、私もその気持ちが無くはないのだけれど、たぶん止められない。雨の中の涙のように。その時が来た。


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