二人目のオリオン

2010年を目処に退役するとされるスペースシャトルに替わるアメリカの有人宇宙船(CEV)の名前が決まったというニュースがあった。

この"Orion"という名称は、最も良く知られている星座の1つであるオリオン(Orion)座からとられたという。アポロ宇宙船のようなカプセル型の機体になっており、直径は16.5フィート(約5メートル)、質量は約25トン。アポロ宇宙船の2.5倍以上の内部空間を持ち、国際宇宙ステーション (ISS)に6名、月探査には4名の宇宙飛行士を運ぶことができるとされる。

結局、ぐるっと回ってもとの場所に戻ったということか。

打上げに用いるロケットについては、すでに「Ares I」「Ares V」という名称が明らかになっていた("Ares"はギリシャ神話に登場する神で火星を指す)。OrionはAres Iによって打上げられ、月探査の際には、まず軌道上で月着陸船や地球離脱ステージとドッキング。それから地球離脱ステージの噴射で月軌道へと向かう計画だ。月着陸船と地球離脱ステージは、物資輸送用のAres Vにて打上げられる。

オリオン用ロケットはこちら。名前が火星を連想させるのは、有人火星飛行計画をにらんだものであるから。スペースシャトルの個体燃料ロケットや外部燃料タンクの流用もするということで、できるだけ安上がりに開発する予定なんだろう。


ところで、宇宙船でオリオンといえば、これが初登場ではない。

1950年代から計画されていた宇宙船、というか推進システム研究にオリオン計画というのがあった。アメリカ読みでオライオン計画と言った方が分かりやすい人も多いだろう。

核爆発を推進力に使うというもので、これを称して核パルスエンジン。*1時代が時代なので、核爆弾を射出、爆発、反動で前に進むという豪快な計画だったが、1963年の部分的核実験禁止条約によって計画は中止された。惑星間航行ならそんなに気にすることも無いと思うんですけどね。

これを拡張したのがダイダロス計画である。こちらは恒星間航行用。


というわけで、一人目のオリオンは幻に終わってしまったが、二人目のオリオンは2014年にデビューする予定だそうだ。おかげで、Wikipediaの中の人を初め今後の手間と混乱は必至である。どっかの核兵器反対団体が勘違いしなければよいが。

船なんだから女神から名前を取ってもよかったんじゃないかという気もする。アテナとか、アルテミスとか。そういえばNASAは男性名しか使ったことがないような気がするが、なにか験でも担いでいるのだろうか。

*1:そうそう、アクシズのエンジンはこれだったような。