Windows版Safariが公開された件


昨夜のWWDCの“One more thing”で発表されたWindowsSafariだが、Appleのこの手のにしては変な驚き方をした。おおすげえ、みたいなものは無くて、へ?なんで、というような。



考えてみれば、Windows版のSafariを作るために今さらAppleが苦労することは、それほど無かったような気がする。もう随分前からiTunesiTunes Storeが表示されているし、AdobeApollo改めAIRのエンジンにはWebkitが使われているし、そもそもSafariの出自はKHTMLやKJSなどのKDEの成果であるし。要するに下準備はあらかたすんでいたはず。


(もっともその割に日本語の扱いが悪いとか、ブックマーク機能を使うと有無を言わせず落ちるとか、久しぶりにβ版らしいβ版なソフトを見たと言うべき仕上がりらしいけれど。)


でもやっぱり驚いたし、事前にこういうことを予想していた人も私は知らない。同時にWindowsでもSafariを使いたいという要望もこれまであまり見かけなかった。正直SafariってWebブラウザとしては、それもAppleのソフトとしては、いたって“普通”のソフトなので、そういう期待も薄かったんじゃないか。今さらWindows上でIEFirefoxと競争することに成算もメリットも特に無いと。



では、何故、このタイミングで?となると、どうもiPhoneとの絡みらしい。iPodのためにWindowsiTunesがあるように、iPhoneのためのWindowsSafari


iPhoneにもSafariを載せて、その上でユーザ用のアプリケーションを動かす。となれば、テスト環境としてはもちろん、同じアプリケーションがPC上で動くというのは便利だ。PC用のソフトを開発する手間は激減するし、もちろんデータの互換性にも不安が無い。使い勝手がほぼ同じなのでユーザが操作を覚えるコストも低い。


Webブラウザーとして、というより、Webアプリケーション用のプラットフォームとしてのSafariということなのかも、と。もちろん、IEよりもFirefoxよりもOperaよりも早いぞ、と煽りを忘れぬジョブズ氏ではあるが。



そこまで考えてふと思うのは、それって要するにDashboardWidgetなんじゃないかということだ。DashboardのエンジンはSafariと同じWebkitなのだし、もともとWidget開発時のテスト環境としてSafariを使うようにAppleが推奨しているくらいなのだから。Safariさえあれば、DashboardWidgetは走るはず。


だとしたら、DashcodeWindowsに移植するんだろうか。


そもそもAppleの中の人たちはWindows版のiTunesを開発する時に何を使っているんだろう?VisualStudio?まさか。案外Xcodeでビルドオプションを選ぶだけでWindows版のバイナリが出来るとか?Appleがその気になれば、すごい勢いでWindows版のiPhotoやらKeynoteやらが続々となんてことも可能とか?


あ、そんなことすれば、Mac売れなくなるのか。やっぱり、開発で楽をしたい人はMacをどうぞ。かな。


以前Dashcodeでパレット式のランチャーを作ってみたけれど、割にあっさりできた。Dockに入れるほどではないソフトを登録して、まあまあ役に立っている。ここでネタにしようかと思ったけれど、はてなには画像以外のデータの置き場が無いのでやめたのだった。まあ、公開できる程の品質かと言われると困るけど。


まあ、そんな訳で、iPhoneで遊びたいと思っている方はDashcodeをいじっておくと楽しいかもしれない。問題は日本でiPhoneが発売されるかどうかも今のところわからないことだ。


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