TechWaveなんていらない


最近、はてブ注目エントリーであまりTechWaveを見かけないなと思っていたのだが、ふと調べてみるとほぼ毎日コンスタントに10や20のブックマークがついた記事がある。なんで見かけないんだろ。はてなにBANされたかと思って、丹念にリストを見てみるとちゃんと載っている。ということはどうやら私の脳内でBANしているらしい。



なので、Firefoxの記事で湯川さんがやらかした件も山本一郎氏のブログを見るまで気づかなかった。

この記事の内容については措いておくとして、これ、米ZDNetの記事の翻訳というか要約というか、つまみ食いである。私はかつてTechWaveのある記事につけたはてブのコメントにこんなことを書いた。


TechWaveって公式の日本語サイトが翻訳するまでの時間差を盗む一番つまんない型の速報サイトになっちゃってるな。キックオフでPV欲しいのは分かるけど。


これを書いたのが昨年の春。コメント中でも触れているがこの当時はまだTechWave自体オープンして間もない時期だったので、同情というか甘く見ている面もあった。


まだやってる。



海外の記事を紹介することに価値がないとは思わない。日本ではあまり有名ではないサイト、日本の読者なんてほとんどいないだろうと思われる海外のブログ、そういうところの記事を発掘して紹介してくれるところは今までも多数あったし、ありがたいものだ。しかしTechWaveで湯川さん名義の記事の多くはそうではない。日本版もある有名どころの記事を日本版で翻訳して掲載されるよりも早く、しかし内容的には端折っておいしいところだけを記事にする簡単なお仕事である。つまみ食いなもんだから、正確性や論拠までは手が届かない。訳者のコメントは囲みで述べているが、これがかつて「蛇足」と自称さえするほどの蛇足だ。


駄目な翻訳でおなじみの日本のGizmodeだが、あれは米Gizmodeの正式な日本版である。だから駄目な翻訳もろくでもない日本版の記事もGizmodeのものだ。どんなに趣味の悪い文体の駄目な翻訳であっても正式版だから、おいしい記事だけ、キャッチーな見出しだけというようなつまみ食いもできず、当たり前だが米版掲載からのタイムラグができる。


TechWaveはその時間を盗む。



思い出すのはオーマイニュースが開業当時にやらかした新聞社の記事を事実上コピペしていた件だ。あれだってやっていたのは元々新聞社なり雑誌社なりマスコミで正規に働いていた人たちだった。ど素人の集まりでもあるまいにと思ったが、後になって気がついた。あれは曲がりなりにも「プロ」な人たちだったからこそやってたんじゃないか。


そう思うと湯川さんの前職が時事通信社というのも気になる。外電を翻訳して国内に配信するのは立派な通信社の役割だが、あれも基本的には配信契約あってのものである。時事だとロイターが提携先として有名だ。こうした契約の元に配信される記事は「○○電によると」という枕詞が置かれたり、末尾に「××電」みたいに明示されるわけだが、世界中の通信社・新聞社と提携するわけにもいかないので、契約外の記事も流れる。「インドの地元紙によると」なんてのがそうだ。しまいにはこの「…によると」を抜かすとあら不思議、独自記事に化けてしまう始末。


TechWaveを見ていると、湯川さんてそんな仕事しかしてこなかったのかなと思ってしまう。まさか時事通信社そのものがとはよもや思いたくないけども。



かつても書いたことがあるが(参照)残念ながら、湯川さんには最新の話題を切り出したり、以前からある問題に新しい方向から光を当てたりといったお仕事はお見かけできない。だが、かつて「IT潮流」でやっていたような絨毯爆撃式のインタビューによって時々大当たりを引いたり、平易な文章で日頃ITニュースなんて読まないような人にまだ一般社会じゃ十分最新で通じます的な態で池上彰氏がテレビで果たしているような役割はできるんじゃないかと思う。だからもう人んちの仕事を盗むような真似は辞めるべきだ。



あと、TechWaveの記事を開業以前へ遡ると、かつて「IT潮流」に掲載されていた記事が出てくるのもなんだかなあと思うけど、これはまあいいや。あれ、スポンサー付きのサイトじゃなかったっけ。


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