月と五円


子供の頃に聞いた話で、当時から本当かよと思いながら実地に試してみたことがないことがある。五円玉を持った手を真っ直ぐに伸ばすと、その穴の中に月が収まるというのだ。ピラミッドのことを考えていて、ふと思い出したのだが、いざと思う日に限って雨のうえにたとえ晴れていたとしてもほぼ新月に近い。


仕方ないから計算して確かめてみよう。基準となるのは、視直径である。要するに自分を中心とする一周360度のうち、ある距離にある物体がどのくらい幅をとるかというのを角度で示す。


まず五円玉の諸元だが、以下のところにある。

全体の直径は22mm、穴の径は5mmだそうだ。今、腕を伸ばして測ってみたが、目からの距離は52cm程度になるようだ。というわけで五円玉の穴の視直径(x1)は以下のように求められる。


x_1 = tan^{-1}{(\frac{5}{2 * 520})} * 2*1


Windows付属の電卓に逆タンジェントの機能が無かったのでExcelを使ったが、要するに0度33分3秒がその答えである。ここは腕の長さに従って、多少の個人差はある。



続いて、月の視直径(x2)。いつかも書いたような気がするが、月の赤道直径は3,475 km、地球の中心からの距離は平均で384,400 kmなので、地表から見ると378,021kmくらいの距離になる。


x_2 = tan^{-1}{(\frac{3,475}{2 * 378,021})} * 2


答えは0度31分36秒。というわけで、本当に腕の先の五円玉の穴の中に月がすっぽり収まる勘定になった。



とはいえ、こうして計算して確かめてみてもどうも信じられない。月ってもっと大きい気がしませんか?もちろん目の錯覚とかいろいろあるのも分かってはいるが。やはり一度、真剣に月に五円玉をかざして見る必要がありそうだ。次の満月はだいたい半月先である。


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*1:texなんて初めて使った。