リークとソースとバイアス


なんだかどんどん自分の人が悪くなっているようで、最近嫌かも。


どちらかというと最近の「弁護士批判」的な文脈で話題になってるようなこれですが、この「上申書」の情報源ってどこなんでしょう?地裁?弁護人?

 上申書では、被害生徒が自殺当日、別の生徒に遺書を書いたことを打ち明けて「あいつら(加害生徒ら)に迷惑かけないよう遺書に名前など出さないようにしている」と話したと指摘。「(逮捕された生徒が)自殺の原因を作り、恐喝をしたのなら、気を遣う発言をするはずがない」として、「逮捕は被害生徒の本意ではなかったと考える」と訴えている。被害生徒の発言は「担任教諭から確認した」としている。

書き方からすると、上申書そのものから引用しているようですが。いや、まさか地裁が公表するとも思えないので、弁護人側から入手したんでしょうか?



この件を報じているところはまだ少ないようで、もう一件見つけたのは、地元の神戸新聞のこれ。

 上申書によると、自殺した男子生徒は、亡くなる日の朝、同じクラスの友人に「遺書を書いた」と伝えていた。男子生徒は、遺書に複数の同級生の名前を書いていたが、上申書によると、逮捕された男子生徒については記載がなかったという。

 弁護人は「逮捕された生徒が自殺の原因をつくったとは考えられない。恐喝未遂は成立しない」と話している。

最後に弁護人の談話が載っているので、少なくともこちらは弁護人から入手したか、弁護人に裏を取ったことがわかるようにはなっています。毎日は署名記事なんで、双方独立して取材したか、毎日→神戸な提供があったのか、なんでしょうが、ね。



何を気にしているかというと、この短い記事で既になんとなくニュアンスの違いが発生しているところです。ぶっちゃけていうと、神戸の方だと弁護人の主張にそれなりに論理が読めるのに対して、毎日の方はいわゆる「燃料」というか、これはまたよく燃えそうな、というか。

情報にバイアスがかかるのは当然なので、そのバイアスを見積もるために情報源というのを知りたいわけです。この上申書は地裁に提出されたものですが、ああ、地裁→検察→毎日という流れはあり得るのかな?でも、特にこの事件で検察有利になるように煽る必要は無いような気がするし。とすると情報源は弁護人で、双方それぞれ新聞社バイアスが発生しているということなんでしょうか?めんどくさいなあ。



もう少し補足しておくと、少年事件で殺人等の重罪案件で無い場合、どうも「青少年の更生・保護育成」の建前が強すぎて、肝心の事実認定が弱くなる傾向があるような気がしているからです。これは極端な場合は冤罪の可能性まで行くわけですが、そこまでいかなくても客観的に見た処分の不公平の原因になり得ます。

毎日の記事だと弁護人の主張はたしかにトンデモ感が強いんですが、神戸新聞の方だと上記のようなことを視野に入れなきゃいけないかなと思えなくもないわけです。

さらに書いてしまうとこの流れで、光市事件の裁判も、今は弁護士界の方が色々な意味で大騒ぎになっていて目が向いていませんけど、1・2審において情状方針一本だった弁護側だけでなく、検察側にも詰めの甘さのようなものがあったんじゃないか、というおそれも多少あったりします。求刑死刑で、検察側控訴だったんですから、そんなはずも無さそうなものですけど。



というところで頼りたいのは本来なら報道機関なわけですが、「11万人(公式発表)」と「4万人くらい(関係者による)」みたいなgdgdなネタで喧嘩してるわけで、もうね。「公式発表垂れ流し」 vs 「謎の関係者によるリーク」で、さらに燃料もくべるよって、どうしろと。


ああ、めんどくさい。


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