今そこにある弁護士自治(2)


オウムの松本智津夫死刑囚の裁判が、結果的に弁護側の控訴趣意書の不提出によって終結してしまった件について、滝本弁護士などが弁護団懲戒請求を出していました。この件でいくつかの懲戒請求がある中の一つで、しかもまだ最終決定ではありませんが、一つの判断が下されました。数日前に滝本弁護士のブログで速報が出ています。

仙台弁護士会綱紀委員会が、懲戒相当と議決したとのことで、
10月22日付の仙台弁護士会会長から同決定書が、
送付書は23日付が、本日午後3時20分に届きました。

4−今後は、同弁護士会懲戒委員会であらためて処分如何と処分内容が決まっていくということになります。


昨日になって報道も追いついたようで、Yahoo!ニュースから拾うとこんな感じです。


それぞれ、ブックマークはほとんどついていなくて、あまり話題にもなっていない様子。光市母子殺人事件裁判の弁護団が多数懲戒請求され、それを煽ったとされる橋下弁護士が訴訟を起こされるなどで、注目度が高い話題かと思いましたが意外でした。


光市母子殺人事件裁判の件と比較してみると、まず共通点は、

    1. 求刑死刑の裁判であり、結審前に死刑判決が下ることが予想されていた/いる。
    2. 弁護団の交代があった。
    3. 安田好弘弁護士*1が受任していた時期がある。
    4. 弁護団懲戒請求されている。


といったところでしょうか。


次に相違点を挙げると、

    1. 松本智津夫裁判は結審し、光市母子殺人事件裁判は結審していない。
    2. 松本智津夫裁判は結審後に懲戒請求が行われ、光市母子殺人事件裁判は結審前に懲戒請求が行われた。
    3. 松本智津夫裁判の懲戒請求を行ったのは滝本弁護士であり、光市母子殺人事件裁判の懲戒請求を行ったのは弁護士ではない人たちである。*2


と箇条書きにしやすい点はこんなところ。



今回の懲戒請求の問題を見るにあたってのポイントは、自分では二つあると考えていて、これも箇条書きにすると、

    1. 「弁護士自治」のための機能であることの是非
    2. 依頼人の利益の保護という弁護士の役割のためにどこまでのことが社会的に許容されるか


ということになるでしょう。


このように比較して考えてみるといいんじゃないかと思うわけですが、今夜はポイントだけ提出して、中身は今度にします。


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*1:多分他にもいらっしゃると思いますが、調べがつきません。すみません。

*2:松本智津夫裁判には東京高裁判事も懲戒請求を起こしていますが、やはり法曹界の人ということで、光市母子殺人事件裁判とは陰影が異なります。