20字でじゅうぶんですよ わかってくださいよ

記事そのものもだが、それに対する反応が興味深かったので下記に並べる。シャープが開発中の電子書籍端末「ガラパゴス」についての話題だ。

  1. シャープが電子書籍ビューア「ガラパゴス」を展示 - ITPro
  2. 【シャープ】電子書籍端末ガラパゴス、コピーは1回20文字まで - ニュー速クオリティ
  3. 【2ch】ニュー速クオリティ:【シャープ】電子書籍端末ガラパゴス、コピーは1回20文字まで - はてなブックマーク


端末上でコピーできるのは1回につき20文字までだそうで、その制限の理由は「著作権に配慮して」だそうである。そして反応はというとブーイングの嵐。


でもね。実はKindleでもiBooksでも基本的に1文字たりともコピーなんてできないのである。20文字コピーできるガラパゴスの方が「進んでいる」と言っていい。


(厳密にいうとiBooksではちょっと迂遠な方法で最大1ページをコピーすることはできる。が、実に抜け穴くさい方法で、である。端末があって可能な人は探してみてください。)


しかし、2chにしてもはてブにしてもそれを指摘する人はほとんどいないようだ。「20文字もコピーできるの?amazonよりもAppleよりもすごいじゃん。」という人がいてもいいようなものだが見当たらない。何故だろう。



いくつかの理由を考えてみた。


1. ぶっちゃけKindleにしてもiBooksにしてもまともに使っている人なんてまだほとんどいない。だからみんなどちらもコピーなんてし放題だと思っている。


2. 電子書籍ソフトを使っていてもその中からコピーしたいという需要がほとんどないので、誰も気にしていない。自炊すると画像ファイルになっちゃうし、そもそもまともに手に入るのは洋書ばかりだから。でもやればきっとできるだろうし、いつかやりたいと思わないとも限らないと思っている。

うーん。でもコピーできたら内蔵じゃない辞書に検索語を渡すのに便利だし、その目的のためなら20文字もあればほとんど用が足りる。でもそんな需要があるのは1行読むのに1回は辞書をひくような英語に貧乏な私くらいなのかもしれない。しくしく。


3. そこに著作権利権の香りがするのであれば、それはローガイでありキトッケンであり許せないのだ。叩くのだ。


4. そこにイケテナイテクノロジーとイケテナイ製品があれば、それは水に落ちる予定の犬であり、落ちる前から叩くのだ。もちろん落ちたらもっと叩くのだ。


どれかしらね。



シャープさんの何がまずいかというとやっぱり「著作権に配慮して」という召還呪文を唱えてしまっていることだろう。


別にこんなこと言わなきゃいいのだ。辞書をひくための用途ですからこれで十分ですよ。これ以上はバッファの管理とかリソース喰うんで、とかなんとか言っておけばよろしい。


もっというとコピーなんて実装しなければいい。誰かに突っ込まれたら、クリップボードの実装面倒でできてませんとか、専用端末なんだからコピーしたってペーストするところが無いですよとか、逃げ口上はいくらでもある。そして少なくとも今のところ「KindleにもiBooksにも無い機能ですよ」という切り札が使える。


でも生真面目に実装して糞真面目に「著作権に配慮して」と言ってしまう。言った瞬間、メーカーは顧客の方に顔を向けておらず、他の誰かの方に顔を向けていることがあらわになる。だから叩かれる。まあXMDFなんて仕様を見れば最初からどっちを見ているかなんて分かりきっているのだけれど、改めて見せられるとやっぱり、ね。


【追記】
このエントリを書く直前に広報twitterアカウントでこんなことが書かれていたようだ。今見るとITProの記事も修正されている。まあなんというか、とりあえずおつかれ。

http://twitter.com/SharpGalapagos/status/27818715289

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